Return to 日本の政治が劣化している・・・・しかし・・・。

アベ政権が狙う労働法改悪

 アベ政権は労働法制を変えると言っています。日本では過労死事件やブラック企業問題など労働者を使い捨てにする状況です。本来は、これらの問題を無くしていく政策が必要なのにアベ政権は正反対のことをやろうとしています。
 では、問題点を見ていきましょう。

1.高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ法案)

 年収1075万円以上の「高度専門職」の労働者は、労働時間、休憩、割増賃金などの規制を適用除外するもので、企業は労働者の労働時間を管理せず残業代も払わないというものです。当然、労働者は成果をあげるために制限のない長時間労働をすることなり、過労死しても自己責任となって、企業の責任がなくなります。今は高度専門職で年収が1075万円以上となっていますが、財界は、法案成立後に年収要件や指定業務を緩和するように要求していています。つまり、小さく産んで大きく育てることを狙っています。

2.裁量労働の拡大

 企業業務型裁量労働制をさらに「提案型営業」などに拡大するものです。裁量労働制は仕事を労働者の裁量に委ねる必要がある業務について、労使協定で決めた時間を働いた時間と「みなす」制度です。これで、協定で8時間と決めたら1日10時間働こうが「8時間」だけ働いたことにされます。自分自身で労働時間を決められるというものですが、実際には企業に始まりの時間が指定されていて、時間に遅れたりすると指導されるなどとても労働者の裁量によるものではない例もたくさんあるようです。
 現在は企画・専門業務に限定されていますが、損保ジャパン日本興亜や野村不動産では禁じられている営業社員に適応して残業代を支払っていないことが発覚しました。もし改悪されたら、こうした違法行為も合法化することになります。

3.残業上限設定

 「労使協定(三六協定)」で事実上青天井にできる残業について大臣告示で限度基準としている「月45時間、年360時間」を法律で上限に設定するものです。上限が決まるから良いのではという意見もありますが、「特例」があり、休日労働を含めて2~6ヶ月平均で月80時間以内、単月で100時間未満まで残業を認めます。これは過労死の認定基準と同じで過労死するレベルまで残業を認めるということになります。今でも100時間未満でも過労死している状況です。多くの労働者に過労死を強要することになりかねません。
 さらに、研究開発業務は適応除外とし、建設業や、運転、医師は5年間先送りし、その後も運転は年960時間まで認めるなど長時間労働を温存します。本来は、月45時間などの大臣告示を法定化して例外は認めないことや、次の勤務まで11時間以上の休息を保証する「勤務間インターバル制度」の導入が必要です。

4.同一労働同一賃金といいながら賃金差容認。

 「同一労働同一賃金」とは「同じ価値を持つ労働には同じ賃金、同じ処遇を」というILO (国際労働機関)でも確立した原則です。アベ政権は「同一労働同一賃金にする」と言っていますが、政府案には「同一労働同一賃金」という言葉はなく、基本給や一時金(賞与)について、労働者の能力や業績、企業への貢献、人材活用の仕組みなどをもとに、「違いに応じた支給」でよいとしています。
 具体例を示したガイドラインでは、「管理職コースの正社員の基本給が、同じ仕事をするパート社員より高い」とか、「目標達成の責任やペナルティがないパート社員より、ペナルティなどがある正社員の基本給が高い」というケースは問題にならないとしています。つまり、賃金差を認めるものになっているわけです。賞与(ボーナス・一時金)もまったく支給しないのは問題としてますが、「会社への貢献」に応じた格差を認めています。欧州で取り上げられている男女間の賃金差別の是正もまったく取り上げられていません。

5.多様な就業形態の普及?

 「フリーランス」など個人事業主や請負・委託などの働き方を広げるものです。「フリーランス」というと、一見かっこよく聞こえますが、正社員の仕事がない、家庭の事情などで不本意ながらなった人が6割もいます。つまり正社員になりたいのになれない人が多いわけです。雇用されていないため、労働時間や休日、解雇、最低賃金など労働者保護の枠外におかれて過密、長時間労働と低収入を強いられています。また雇用保険にも社会保険にも加入できません。正社員の仕事をこれらに置き換える動きが広がっていることに注意する必要があります。

6.解雇の金銭解決制度

 裁判で解雇が無効になっても、会社がお金を払えば雇用契約を終了=解雇できる仕組みです。厚労省は解決金の水準を法律で定めることも提案していて、労働者にリストラの受け入れを迫る手段として使われる危険があります。このような金銭解決自体は労働審判などですでに行われており、新たな仕組みをわざわざ作るは必要はありません。それよりも、最高裁の判例で確立されている「整理解雇の四要件」(①差し迫った解雇の必要性がある。②解雇回避の努力を尽くす。③解雇者の選定基準、人選が公平、合理的である。④労働者、労働組合への説明義務を果たす)を法定化し、満たない解雇は無効と定めることが必要でしょう。また労働者が争っている間は就労する権利を保障することも必要です。