(Q1)「胴上げ」型から「肩車」型になるから消費税を10%にするのは仕方ないの?
「肩車」論はごまかしです。40年後も扶養比率はほとんど変わりません
政府は消費税増税の必要性について、半世紀前は65歳以上の高齢者一人を9人の現役世代で支える「胴上げ」型社会であったが、今は3人で支える「騎馬戦」型、2050年には1人で支える「肩車」型社会になり、今の社会保障は持続不可能になるからと言っています。
ところが、この議論には大きな「ごまかし」があります。それは、社会保障で支えているのは、高齢者の暮らしだけでなく子どもたちの保育や教育をはじめ、現役世代自身も医療などでその恩恵を受けています。社会保障によって支えられているのは全ての国民です。
また社会保障を支えていくのは65歳以下のいわゆる現役世代だけでなく65歳以上の高齢者や女性も働く人が増えており、政府の試算でも労働力人口扶養比率は現在の1.88から2050年でも2.05とあまり変わりません。
(Q2)消費税って本当に社会保障にまわってきているの?
実際には法人税減税の穴埋めに使われました
1989年に消費税が導入されてからの消費税収総額は238兆円ですが、その一方、企業に対する法人3税の減税は223兆円になります。つまり、消費税 の9割以上が企業減税の穴埋めとして使われたのです。。その結果、財政赤字は解消されないまま社会保障が削られていきました。
実際に消費税が導入された後は、医療費の窓口負担が3倍に、年金保険料が倍増、特養ホームの待機者は21倍にも膨らみました。社会保障が削られたために、失業や貧困と格差を拡大し、14年連続で3万人以上が自殺し、子どもの虐待の相談件数も40倍になっています。
政府はしきりに消費税の「社会保障目的税」化を強調しています。社会保障を消費税でとなると、「財源が不足すれば増税を、それがいやなら社会保障 を切り捨てる」との選択が強いられます。あえて、消費税を目的税かするのは、その他の税収をいままで以上に大企業奉仕と軍事費に使うためです。
(Q3)財界はなぜ増税に積極的なんだろう?
大企業のみがもうかる仕組みだから
企業は、消費税を売り上げ代金に上乗せできれば、消費税の負担は0になります。たとえば100万円の車だと、消費税5万円を含む105万円で販売しま す。車の仕入れが80万円だとすると、仕入れについては消費税4万円で合計84万円の支払いとなります。消費税の申告は、売り上げで消費税5万円を集金 し、仕入れで消費税4万円支払うため、差し引き1万円の申告・納税となり、企業の負担は実質0となるわけです。
しかし、中小企業では大企業のように売り上げに消費税を転嫁できない業者が7割もあります。その場合は、身銭を切っていることになります。大企業から下請け単価の切り下げを強要され、このうえ増税されては商売を続けることもできません。
一方で、トヨタなどの輸出大企業は、国から消費税還付を受けています(輸入戻し税)。商品を輸出した場合、国内仕入れでかかった消費税分がそのま ま戻ってくる仕組みなっており、トヨタ自動車の場合、2106億円にもなります。消費税が10%になれば、黙っていても4000億円を超えるお金が転がり 込んできます。「消費税は公平な税金」ではなく、輸出大企業は1円も負担していないのです。
(Q4)消費税が2ケタなのは、世界では当たり前なの?
ヨーロッパでは食料品など生活必需品は「非課税」や「ゼロ税率」です
日本で言う消費税は、ヨーロッパでは「付加価値税」として課税されています。しかし、イギリスでは食料品などの生活必需品は「ゼロ税率」であり、 フランスでも軽減税率を適用しています。ヨーロッパの「付加価値税」による税収は、税率の高さの割にそれほど多くはありません。これは、「ゼロ税率」や 「軽減税率」が適用される品目が多いからです。
日本では軽減税もなく、非課税品目も少ないため、税収全体に占める消費税の割合はすでにヨーロッパ並みになっています。アメリカには消費税自体ありません。
社会保障の財源としてヨーロッパの高い税率とたびたび比較されますが、ヨーロッパが消費税で社会保障を支えているというのもごまかしです。
社会保障財源の企業負担(事業主の社会保険拠出)を対GDP比で比較すると、先進国の中で日本は最低ランクです。ヨーロッパ並に引き上げれば25 兆円の財源が確保できます。これは消費税に換算すると、税率10%分になります。消費税増税を言うならば、企業の負担責任も同時に求めていかないとおかし いでしょう。
(Q5)社会保障費が増えるけど、どうすればいいの?
ムダの一掃と大企業や富裕層に応能負担を求めればいいのです
大企業や富裕層に優遇してきた税制をただしたら、7兆円が確保されます。「税の原則」は、「収入の多い人は多く、少ない人はその程度に」です。また、ムダな歳出を一掃することも大切です。軍事費に5兆円、大型公共事業に41兆円などです。
ムダとして「議員定数の削減や公務員人件費削減」などの意見もあります。しかし、議員を減らせばそれだけ民意も削られ、少数意見が消されてしまう 可能性もあります。議員一人で7千万円として80人減らしても56億円です。それならば、320億円の政党助成金を廃止した方が早いです。また、公務員の 賃金削減は民間労働者の賃金にも波及します。実際に、公務員が下がっているからうちも下げるというようなことになります。これは、賃下げのスパイラルに陥 り、景気はさらに悪化し、その結果税収が減り、さらに財政を悪化させることになるでしょう。
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