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アベ政治がもたらすもの(第3章)

第三章 教育から見た安倍政権
教育改革。大学教育が変えられていく。大学の自治はどこにいってしまうのか。教育予算を減らし、政府に都合の悪い学問が生き残れないようになっていく。そして、戦争法とともに、自然科学研究が軍事に使われる可能性もある。産軍学の一体化も進むかもしれない。そうすることは簡単だ。財政的に縛り上げてしまえばいいのだから。今も大学への資金が恣意的に配分されている。
学生にとっては、異常に高い大学授業料や、奨学金という名の借金に苦しむことになる。利益を受けるから授業料を払うのは当たり前という考えの政治では、教育が社会的な投資であり、教育にお金をかけることが、将来国を支えていくという考えは生まれないのだ。多くの国では奨学金は給付制である。返す必要はないのだ。ましてや、高校無償化の見直しなどとんでもない。

教育の目的は人格の完成である。人材育成のためではない。「すぐ役に立つ学問はすぐに役に立たなくなる」ことを考えてみれば、長い目で教育をみていく必要がある。政府に都合の悪いことは載せない教科書を使っている子どもたちは不幸である。世界に出て行ったときに恥ずかしい目に遭うだろう。一八歳選挙権では、高校生の政治活動を抑えようとしている。これも馬鹿にしている話ではないか。教育は公正・中立でないといけないが、それを誰が判断するのか。今でも政治家が教育内容に口を出している中、高校での政治教育はほとんど行われないことになるだろう。教員たちも自主規制せざるを得なくなってきている。外国では当たり前のように行われている政治教育。自分たちの政治に自信が無いので本当のことを知られると怖いからやらせないようにしているのかもしれない。

しかし、今は情報機器が発達している。SNSなどを利用しながら連絡を取り合い、そして学習したシールズの学生たちのように目覚めた若者が現れた。国会周りだけでなく日本中で拡がっていった若者たちのデモ(東海地方でもシールズ東海がある)は自発的行動であり、誰からの動員でもなく、自分の意思で集まっている。これは、安倍政権の危険性を当事者として肌で感じ始めたためだろう。彼らは与党の政治家よりもよく学習している。小選挙区制度の弊害のため思考停止になっている与党の政治家よりもこの国のことをよく考えている。

安倍政権は道徳教育にも力を入れようとしている。その道徳はいわゆる徳目で、最終的には政府の言うことを聞く人間を作り出そうとするものである。そんな道徳の教科書よりももっと教材として最適な材料がある。今の安倍政治である。相手の話を聞かず、自分の意見だけを押し通し、ルールも守らずに好き勝手やってもいいというのが安倍政権の道徳らしい。そして、参議院特別委員会での行動のようにだまし討ちもいいらしい。そんな政権が目指している道徳が眉唾物であるのは明らかである。このような安倍政権のやり方が市民道徳に反することを政治家こそが学習した方がいいだろう