労働組合って何?

「社長のことは絶対」なんて思っていませんか。そんなことはありません。
憲法第28条は労働組合を結成・加入する権利、団体で交渉する権利、団 体で行動する権利を保障して対等の立場で要求できるようになっています。労働条件についてはいろいろな法律で決まっていますが、これらはあくまでも最低基 準です。労働条件をさらによくしていくためには、労使対等で交渉する労働組合が必要になります。
労働組合法では労働組合を結成または加入したこ とを理由とする解雇や差別を「不当労働行為」として厳しく禁止しています。労働者の権利を守ることは、一人では大変でもみんなで力を合わせれば働きがいの ある職場を作ることができます。職場に労働組合がない場合でも、岐阜県各地域には1人でも入ることができるローカルユニオン(労働組合)があります。

働く人たちのための権利手帳

これは、全労連(全国労働者組合総連合)が社会人になる人たちに送る権利手帳を参考にしました。というかほとんど一緒ですが。

あなたの給料はいくら

給料(賃金)は働くものにとっての唯一の生活の糧となります。その賃金は労働契約どおりに支給されているでしょうか。賃金支払いの原則は(1)通 貨払い(2)直接払い(3)全額払い(4)毎月払い(5)一定期日払い・・となっています。自分自身の給料明細をよく見てみましょう。賃金や労働時間など の労働条件は、人間として生活するために十分なものでないといけません。とくに同じ労働に対する賃金は男女とも同一が原則で、あらゆる差別が禁止されてい ます。また、「これ以下の賃金で働かせてはいけない」という法律(最低賃金法)があり、各都道府県ごと地域別・産業別に決められています。それを下回ると 契約は無効とされ、経営者は罰せられます。これはパートやアルバイトにも適応されます。

働く時間が長すぎる

労働基準法第32条では、1日8時間、週40時間労働が原則です。これは、原則としてすべての労働者に適応され、それ以上働けば時間外労働として 割増賃金が受け取れます。労働時間には仕事前のミーティングや準備時間、作業後の清掃時間も含まれます。1日の実労働時間が6時間を超えると、少なくとも 45分、8時間を超えると1時間を、労働時間の途中に休憩時間として与えなくてはいけません。法定休日は、週1回(または4週間に4回以上)と決められて います。使用者が法定労働時間や法定休日をこえて労働を命じる場合、延長上限枠を決めた労使協定(36協定)が必要です。法定休日に働いた場合は35%の 割増賃金が必要です。残業は25%以上、深夜勤務(夜10時?翌朝5時)は25%の割増賃金が必要です。

たまには休みたい

労働基準法台39条では、年次有給休暇(有休)の最低基準を定めています。有休は6ヶ月勤務し出勤率が80%以上であれば、その後1年間に10日取得でき、6年半勤めれば最高20日とれます。
自分の会社の有給休暇や休日、休憩時間、慶弔休暇などの規定は、就業規則に載っています。事業主はパートを含め10人以上の従業員を雇っている場合、事 業所ごとに就業規則を作製し、労基署に届け、自由に閲覧できる状態にしておくことが義務づけられています。有休は理由の如何にかかわらず自由に取ることが できます。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、例外的に変えることができます。また、有休をとっても賃金をカットされたり、解雇されることもありま せん。その年度に有休が取りきれないときには、翌年に限って繰り越せます。これは、正社員だけでなく、パートやフリーターでも法令に基づき、一定の条件が あれば有休が取れます。

労働条件でのトラブル・・・

採用面接時などに労働条件をよく確認しなかったために、思わぬトラブルになることもあります。面接者に労働条件をしっかりとたずね、採用時に「労 働条件通知書」を求めましょう。求人雑誌や新聞広告などでの内容を信じて面接を簡単にすませていませんか。労働契約の内容は労使双方が確認・合意してはじ めて確定します。しかし、高等では証拠として残りません。労働基準法は労働条件関係のトラブルを防止するために、採用時に(1)契約期間、(2)就業場 所・従事業務、(3)始業・終業時刻、休日・休憩・休暇、超過勤務の有無、(4)賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の〆切・支払日、割り増し賃金な ど、(5)解雇手続きなど退職に関する事項を労働者に文書で明示することを義務づけています。よって労働条件は文書で確認しましょう。

働く人の保険って何?

雇用主は労働者を雇い入れる場合、原則として社会保険(医療・年金)や労災保険・雇用保険への加入を義務づけられています。また健康診断や事業主 の不安で最低でも年1回実施することになっています。これらの保険の保険料は労災保険(事業主負担)をのぞいて労使負担で運営されています。社会保険には パートやアルバイトでも一般労働者の3/4以上の労働時間であれば加入できます。雇用保険には所定労働時間が週20?30時間、1年以上の雇用見込みがあ れば加入できます。失業した場合、雇用保険への継続加入期間が6ヶ月以上(パートなどでは1年)であれば給付対象になります。パートの健康診断も年1回全 額使用者負担で実施しなければなりません。

仕事中にけがをしたら?

業務上や通勤途中の負傷・疾病で仕事を休む場合、労災保険から医療費や休業補償が支払われます。労災保険は、事業主が保険料を全額負担する強制加 入保険です。パート・アルバイトを含め、労働者を1人でも使用する事業主は、労災保険法が適用されます。労災保険には、療養・休業・障害・遺族・介護・葬 祭料などの保険給付があります(加入未手続きや保険料未納でも請求は可)。支給請求はもよりの労働基準監督署で行います。労災保険請求権は労働者固有の権 利であり、労働者・遺族から要請があれば、事業主は保険請求事務に協力する義務があります。

突然クビ?

動労基準法第18条の2では、「客観的に合理的な理由」のない解雇は厳しく禁止されており、突然の解雇は違法です。(1)業務上の疾病による休業 期間およびその後30日間(2)産前産後休暇およびその後30日間(3)男女雇用機会均等法8条違反などの場合は解雇が制限されています。使用者の都合に よる解雇の場合、30日前に解雇予告を行うか、解雇予告手当(平均賃金の30日以上)の支払いが必要です。会社が経営難で整理解雇する場合も以下の4要件 をすべて満たさなければその解雇は無効です。(1)高度の経営危機(2)解雇回避のための相当の努力(3)人選の規準が合理的である(4)解雇の必要性な どについて労働者に説明する努力がなされたこと。です。退職労働者が請求した場合、使用者は勤務時間、従事業務、賃金、退職理由を記入した退職証明書を発 行しなければなりません。簡単にあきらめずに近くのユニオンに相談しましょう。

女だから・・・なぜ?

我が国の男女平等の遅れは国際的にも批判されています。労働基準法第4条には同一労働同一賃金の原則があります。男女雇用機会均等法では、募集・ 採用・配置・昇進、教育訓練、福利厚生、定年などにおける男女差別を禁止しています。結婚や子を持つことを理由とした差別もいけません。母性を守るため に、労働基準法では産前6週間(多胎14週間)、産後8週間の出産休暇や生理休暇を定めています。男女ともに、育児休業(子どもが1歳まで)、介護休業 (一人につき延べ93日)があり、休業中は賃金の40%が雇用保険から支給されます。パートタイム労働者も一定の条件を満たせば育児・介護休暇をとること ができます。

セクハラ・パワハラ・・・

同僚や上司のちょっとした態度や行動がセクハラやパワハラになることがあります。男女雇用機会均等法第21条では、「セクハラにより女性労働者の 労働条件が不利な状況になったり、就業環境が悪化することがないよう事業主は配慮しなければならない」としています。企業はセクハラに対する方針をあらか じめ設け、相談や苦情を受ける窓口を明確にし対応しなければなりません。
企業は労働契約上労働者に対して職場環境保持義務と改善義務を負っており、また民法でも「社員が会社の事業の執行に当たって他人に違法に損害を与えた場 合、会社も一緒に損害賠償責任を負う」とあります。いじめやセクハラのある職場を放置、容認している場合は、企業も責任を問われることになります。こうし た嫌がらせは、仕事上の関係であっても決して許されることではありません。

派遣でも正社員同様の権利があります・・・

年々派遣労働者数が増えてきています。しかしながら、派遣労働という形態は例外的な雇用であって本来は直接会社で雇用することが基本です。
もしもあなたが派遣社員なら・・・派遣元事業主は(1)労働条件を書面で事前に示す義務があります。(2)契約期間の賃金を全額支払う義務があります。 (3)派遣労働者からの苦情処理や福利厚生の充実に取り組む義務があります。(4)労働・社会保険の諸手続をする義務があります。(5)派遣労働者の個人 情報を保護する義務があります。
また、このような派遣は禁止されています。(1)厚生労働大臣の許可、届け出がない事業者による派遣。(2)派遣法で決められた上限を超える長期にわた る派遣。(3)対象業務以外への派遣。(4)2重3重の派遣。などは法律で禁止されています。近年、従業先の企業から業務命令があるのに、請負労働者とし て働かせる違法行為(偽装請負)が増えています。自分自身、派遣なのか請負なのかきちんと確かめましょう。

フリーター・・・・

今アルバイトだけで暮らす青年も増えています。「フリーター417万人」とも言われています。アルバイトもパートも、派遣社員、請負労働者なども 基本的権利が保障されています。異なる点は、(1)働く日数や時間によっては有給休暇日数が少なくなること。(2)厚生年金・健康保険、雇用保険に加入す るには一定以上の労働日数・労働時間が条件となること。(3)育児・介護休暇をとるには一定の条件が必要になることなどがあります。
仕事探しは求人雑誌やチラシだけでなく、ハローワークへも行ってみましょう。相談もできるし、国がチェックしているので労働条件もはっきりします。

労働組合って

「社長のことは絶対」なんて思っていませんか。そんかことはありません。憲法第28条は労働組合を結成・加入する権利、団体で交渉する権利、団体 で行動する権利を保障して対等の立場で要求できるようになっています。労働条件についてはいろいろな法律で決まっていますが、これらはあくまでも最低基準 です。労働条件をさらによくしていくためには、労使対等で交渉する労働組合が必要になります。労働組合法では労働組合を結成または加入したことを理由とす る解雇や差別を「不当労働行為」として厳しく禁止しています。労働者の権利を守ることは、一人では大変でもみんなで力を合わせれば働きがいのある職場を作 ることができます。また、各地域には1人でも入ることができるローカルユニオン(労働組合)があります。西濃地区には西濃地域労働組合「あらぐさ」があり ます。

働くルールの基本

憲法第25条は、「すべて国民は、健康で文化的な生活を営む権利を有する」と国民の生存権を定めています。また27条では、国民の働く権利を保障 するとともに、人間らしく働くための労働条件を法律で定めることを明記しています。人間らしく生き働くための労働条件がすべての労働者に保障され、もうけ だけを目的にして、企業が労働者を劣悪な条件で働かせることを規制しています。
憲法28条は、労働条件を国の最低基準よりも高いものにしていくために、労働組合を作って団体交渉を行い、場合によってはストライキを行うことのできる権利を保障しています。