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アベ政治がもたらすもの(第5章:まとめ)

まとめ
このように、安倍政権がもたらすものは、アベノミクスによる国民生活の破壊と、多国籍企業の繁栄、アメリカの戦争に巻き込まれ、テロの恐怖におびえる国なのかもしれない。
隣国の脅威を利用し、人々の不安をかき立て、さらに戦争に向かっていく。問題を抑止力で押さえようとしても、お互いの国の国民が苦しむだけである。日本が世界で名誉ある地位を占めようとするならば、非武装であることはもちろん、世界で貧困や飢えで苦しんでいる人たちが普通の生活ができる世界にしていくことに日本が積極的に関与していくことが大切だろう。
いったいこの国はどうなっていくのか。安保法案は、多くの憲法学者が違憲だと表明し、さらには元最高裁判事さえも、そして最高裁判所の元長官さえ問題であると声を上げている(かなり異例のことらしい)。法律の専門家から見て法案の内容も進め方もひどすぎるのである。政治家が専門家を差し置いて憲法判断をするのでは何でもありになってしまう。安倍首相は大丈夫だと言うが、その時々の政府が勝手に憲法解釈を変えていいという前例を作ってしまったのである。法的安定性は近代国家では一番大切なことなのにだ。
多くの人たちの疑問に答えることなく、時間だけが過ぎていった。その責任は答えようとしない、論理的に破綻している政府の答弁のせいである。この政府のもとで実際に行動する自衛官の思いはどうなのか。大義のない戦闘のために自衛官になったものはいないだろう。愛する家族を守るために自衛隊に入った人が大多数だろう。
多くの人たちは安倍政権のやり方に危機感を抱いている。戦争にはならないというが、憲法を軽くみる、立憲主義がわかっていない政府を信用せよというのはどだい無理な話である。政府は都合の悪いことは、秘密保護法で隠し、国会にさえ真実を出さず、国権の最高機関である国会さえ軽視した政府によって知らないうちに、日本が直接攻撃されていないのに戦闘に巻き込まれていく。なし崩し的に武器輸出が行われ、いよいよ日本は死の商人にもなろうとしている。武力による抑止力に頼ることで、外交による努力を水の泡にすることになる。

最後に
たとえ法案が通ったとしても終わりではない。法案を廃止あるいは、骨抜きにすればいいのだから。国会周辺に集まった国民の姿は全世界に伝えられている。多くの国民が自ら平和について考え、戦争しないと声をあげる行動に出たことはきっと伝わっていると確信したい。そして、政府がどのように取り繕うとも、法案は憲法に違反しているのである。憲法には、「われらは、これ(憲法の理念)に反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」とある。この論理に耐えられない法案は自ら瓦解するはずである。安倍政権により一度は破壊された立憲主義・民主主義であるが、壊されたならもっと強固に作り直せばいい。自発的に動き始めた若者たちのエネルギーで、日本が、世界の流れから外れて暴走することがないと信じたい。