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会話シリーズ(その1:集団的自衛権)

ある教室での会話シリーズ

A子 ねえ。この頃集団的自衛権ってニュースで出ているけど知ってる?
B夫 あまりよく知らないよ。じゃ、先生に聞いてみようか?先生、集団的自衛権って何ですか?
S先生 えーとね。自衛権というものには個別的自衛権と集団的自衛権というのがあるんだけど、まず個別的自衛権は、自分の国が攻撃されたらそれを防ぐために戦うというものなんだね。これまでの国会なんかでの議論によって、憲法9条を持っている日本はこの個別的自衛権だけが認められるとしていたんだ。
B夫 でも、ニュースでは総理大臣とかが、集団的自衛権もいいよと言っていた気がするけど。
S先生 そうなんだ。今までの長い間の議論をすっ飛ばして、自分の都合のいいように憲法の解釈を変えちゃったんだね。だから、いろいろな人たちがそれはダメでしょと言っているんだ。
A子 で、集団的自衛権が何で問題になるの?
B夫 ニュースでは日本が戦争できる国になると言っていたけど・・・。
S先生 そうなんだね。今までは、日本は専守防衛といって攻められたらそれに反撃するという形だったんだ。でもこれからは、日本が攻められたらではなくて、例えばアメリカなんかが戦争を起こしたら、日本もアメリカが困っていたら回り回って日本も危険になるから一緒にやったろうという事になるんだね。アメリカはいろいろなところでトラブルを起こして他の国とけんかしているから、日本は「けんかはやめなさい」といってそれぞれをなだめるのではなくて、アメリカの方に加勢するんだね。
A子 へぇー。なんか嫌だな。アメリカのけんかに入っていくと、けんかの相手はきっと日本も敵だと思うよね。そうすると、結構危ないことになっていくような気がするけど。
S先生 そうだね。さらに、戦争になったら実際に戦争に参加する自衛隊の人たちが怪我をしたり亡くなったりすることもありえるね。憲法9条の下で、攻められた時だけ反撃するとして自衛隊に入った人たちは、きっと「なぜ勝手に決めるんだ」と怒っていると思し、命令には従わないといけないのですごく不安じゃないのかな。
B夫 このままいくと、自衛隊を辞める人たちが出たりして、人が足りなくなるから徴兵制なんていうのが必要になると聞いたけど。
S先生 まあ、そこまでいくかどうかは分からないけど、アメリカなんかでは貧しい人たちが軍隊に入らざるをえないようになっているんだね。そして、実際に戦場に行った人たちは精神がおかしくなって自殺などをする人たちも多いらしいんだ。
A子 そんな重要なことが、何人かの人たちだけの考えで決まっていくなんてなんかおかしいね。ニュースなんかでもっとたくさん説明して欲しいね。僕のまわりの人たちが戦争することになるかもしれないと考えると何か怖い。
S先生 そうだね。力では何も解決できない、戦争では解決できないというのが20世紀という戦争の時代を経験しての結論だからね。なにやら日本は逆方向に進んでいるみたいだね。みんなもいろいろなことを知って、いろいろと発言していくことがとても大切だと思うよ。