福島原発の「処理水」(汚染水)の放出で考える

 ここのところのニュースは、どの局を見ても福島原発事故で発生している「汚染」処理水の海への放出によって、中国からのいたずら電話や水産物全面輸入禁止ばかりで一色に染まってしまっている。でも、中国の行為は海に流さなかったら起きていなかった問題ですね。なぜ根本的な問題をニュースにしないのか。こんなことを言うと、安全な「処理水」を海に流してなぜ悪いと文句を言ってくる人たちが多々います。さらに、「処理水」で放出するトリチウムの量は、中国の原発から出る量よりも少ないんだ。だから中国は文句を言えるはずがないなどと言うのでしょう。
でも疑問。
1.福島の「処理水」は、通常稼働の原発から出るものとは違う。溶け落ちた核燃料を冷却するために直接核燃料に触れた水をALPSで処理したもの。本当に、トリチウム以外の各種は取り除かれているのか?
2.「処理水」以外にも福島原発からは専用港に多くの放射性物質が漏れ出しているが、これに関してはどうなのか?ニュースには何も出てこないが。
3.なぜ海洋への放出に東電や国はこだわっているのか。何か裏がありそうな気がしますが。他の方法はなぜダメなのか。
4.廃炉に支障がでるから「処理水」を貯蔵しているタンクを減らさないといけないというけれど、いつになったら廃炉にできるのか。原子炉の状況がまだまだはっきりしない段階で溶け落ちたデブリを取り出すのに後何年かかるのか。その間、「処理水」を流し続けていいのか。
5.漁業の風評被害については最後まで保証すると言っていたが、これから30年以上も続くことに関して責任を持てるのか。そして、国の方針なのでと当事者意識のない東電の姿勢はどうなのか?
6.東北の漁師たちの願いは、ちゃんとこれから何代も漁師という仕事が成り立ち、取った魚を多くの人たちに食してもらえることでしょう。「ただここで漁がしたいだけ」という漁師たちの思いを考えていけるのか。
これらの疑問をしっかりとマスメディアは取り上げていく必要があるでしょう。

このような状況なのになぜ原発の再稼働や稼働年の延長などを進めようとするのか。今の東電と政治で我々を信用せよと言われても無理ですとしか言えない。「処理水」の放出は日本だけの問題では無く、世界全体の問題(海はつながっているから)なので、日本だけで考えているのでは無く、多くの国に協力を求めたりして、どうすればいいかの議論を積み重ね(そこには、当然福島の人たちや漁師たちも入って)ていくことが今必要な気がします。「関係者の理解なしに処理水をいかなる処分もしない」という政府の約束を破られた漁師たちの思いを考えると怒りしか出てこない。そして、政府の広報と貸しているマスメディアに対しても・・・。