教員の待遇改善は幻か?

 2025年1月28日付けの赤旗日刊紙の1面に載っていた記事を読みました。そこには、2025年度予算案で、教職調整額引き上げがありますが、その財源としてなんと、教員向けの手当の廃止・縮減で生み出そうとしていることが書かれています。どうかんがえてもこれは?。現在教員は残業代制度の例外とされていて、4%の教職調整額で定額働かせ放題になっています。これは、どれだけ働いても給料は上がらないことを示しています。働き方改革で教員の長時間労働や教員不足が問題になっている中、調整額を段階的に30年度までに10%に引き上げるという方針ですが、これがまた教員の長時間労働をさらに増やす理由になりそうです。今回の予算では、調整額を1%上げるために22億円(実施されるのは、26年の1月からになります)を計上しています。その財源として、義務教育関連になりますが、優秀な人材確保を目的に教員の月給に平均1.5%を上乗せしている「義務教育等教員特別手当」を1%に縮減、さらに学年の異なる子どもからなる複式学級担任向けの「他学年学級担任手当」を廃止、この2つの手当の改悪で合計11億円を見込んでいます。さらに、いろいろな手当が改悪される可能性があり、義務教育以外の校種にも影響が出てくる可能性はあります。
 財務省はとにかく教育にかけるお金を減らそうとたくらんでいます。教員調整額を段階的に10%に引き上げ、その上で残業代制度に移行すべきだと言っています。そして必要な財源は教員向けの各種手当ての廃止・縮減で生み出すべき、そして最終的には残業代に一元化するように提案しています。これが何をもたらすのか。教員の給与は残業をしないと現在よりも低くなります。現在、各種手当ての合計は給与の9%に相当しています。ということは、介護や子育てなど残業できない状況にある教員は、給与の約1割、年間で数十万円の減収になってしまいます。これでは、教員の待遇改善とはなりません。現在の給与水準を維持したうえで、余分に働いた分を残業代として支払うことが本来の形のはずです。そのための財源はあります。今回提出の予算では、軍事費は文教・科学振興費の1.5倍の8兆7005億円です。文教関係費だけだと実に2.1倍です。この軍事費をすこしだけ回せばすぐにできることです。しょうがないと黙っていたら、現状を認めることになります。そしてどんどんと市民の暮らしはひどくなります。声を少しでも上げていくことが重要ですね。